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登記手続請求訴訟等

担保権の抹消登記

金融機関等の債権者から受領した書類を使用してする通常の担保権の抹消登記については、住宅ローン完済をご覧ください。
ここでは、以下のような種々の理由から、程度の差こそあれ、担保権設定登記の抹消手続が煩雑・困難となるケースについて説明します。

金融機関から受領した抹消登記書類を紛失した場合
担保権者たる法人が解散している場合
担保権が休眠担保権である場合

金融機関から受領した抹消登記書類を紛失した場合

金融機関に抹消登記書類の再発行を依頼することになります。
しかしながら、抹消登記書類のうち、金融機関作成の書類は再発行が可能ですが、抵当権登記済証(又は抵当権登記識別情報)は、元々法務局が発行したものであるため、これだけは二度と再発行することができません。
そこで、金融機関から再発行された書類と併せて、事前通知制度、又は、資格者代理人(司法書士)による本人確認情報提供制度を利用して、抵当権等を抹消することになります。

担保権者たる法人が解散している場合

担保権者たる金融機関が解散してしまい、担保権者自体が存在しないということがあります。
弁護士等の清算人等が、残務処理として、解散後も引続き抹消書類の交付事務を行なっているような場合は比較的円滑に抹消手続きができますが、不動産登記上に記録されている法人が合併や商号変更を繰り返した後に解散し、解散時の会社名を調べること自体に手間がかかることもあり、やや煩雑な手続きであるかもしれません。

担保権が休眠担保権である場合

■  休眠担保権とは
不動産の登記記録を調べると、明治・大正・昭和初期の時代に登記された担保権(抵当権等)を発見することがあります。その多くは、債権額を数十円や数百円として登記されており、物価に時の流れを感じます。このように長期間放置された古い担保権を、一般に「休眠担保権」といいます。
休眠担保権は、遠い昔の時代に当時の所有者が設定したものを、転々と受け継いでいることが多く、現在の所有者が権利関係そのものを把握していないことがほとんどです。また、自分の不動産にそのような担保権が設定されていること自体を認識していないことも珍しくありません。
上記のような休眠担保権は、消滅していると推測することはできますが、たとえ事実上無意味なものであっても、この登記が存在する限り、通常、売却や融資を受ける際の大きな支障となります。

■  休眠担保権の抹消方法
休眠担保権のように事実上担保権が消滅していても登記記録から当然に削除されるわけではなく、登記記録から抹消するには、抹消登記の手続をとる必要があります。
休眠担保権の抹消方法には、事例によりいくつかの方法があります。

① 担保権者の行方が分かり、かつ、手続上の協力が得られる場合

休眠担保権であっても、その担保権者の行方が分かり、かつ、協力等が得られる場合は、通常どおり、抹消登記を申請することができます。ただし、ほとんどの場合は、相続等により権利承継されていますので、相続人等が誰であるのか、その所在等を調査し、相続人等全員から協力を得なければなりません。また、調査や法務局への登記申請にあたっては、相続等を証する公的書面(除籍・改製原戸籍謄本など)が必要になります。さらに、担保権抹消登記とは別に、担保権移転登記が必要な場合もあります。

② 担保権者の協力が得られない場合における抹消登記の手続方法には、いくつかの制度が
  設けられていますが、ここでは、最も一般的かつ現実的な次の2つの方法をご紹介いたします。

(1)弁済供託による休眠担保権抹消登記

最もよく利用される手続です。この手続きには、担保権者が申請手続きに参加しないにも関わらず裁判所を利用しなくて済むという長所があります。

利用条件
この手続を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
  • ・担保権者等が行方不明であること ※1
  • ・被担保債権の弁済期から20年を経過していること
  • ・債権の元本・利息・遅延損害金の全額を弁済すること
  • ・担保権の登記が(根)抵当権、(根)先取特権、(根)質権等であること。 ※2

※1. 行方が分かっているが協力が得られないような場合に、この手続きを利用することはできません。 なお、実際に行方不明であれば、担保権者が個人である場合、通常は行方不明の認定手続きをとることができますが、担保権者が会社などの法人である場合は、行方不明の認定が困難となることが予想されます。

※2. 賃借権、買戻権付所有権などの登記は、取引上担保としての性格を有していても、この手続によって抹消することはできません。

手続の流れ
担保権者等の登記上の住所地を管轄する供託所に、被担保債権の元本債権額、金銭消費貸借契約日から弁済期までの利息、弁済期の翌日から供託をする日までの遅延損害金の全額を弁済供託します。
明治時代中期が弁済期の場合、供託日までの利息・遅延損害金が100年分を超すこともありますが、債権額100円であれば、120年分の年率6%の利息・遅延損害金の合計額は約720円です。
なお、明治時代中期の100円は現在の貨幣価値に引き直すと約200万円ですが、債権額につき現在の貨幣価値に合わせる必要はありません。

(2)抹消登記手続請求訴訟と判決による登記

裁判所に、担保権者等に対する抹消登記手続請求訴訟を起こし、その給付判決(勝訴判決)を得ることで(※)、その判決書と確定証明書を併せて、抹消登記手続を行なう方法です。抵当権等のほか、(1)とは異なり、賃借権等の権利であっても、対象とすることができます。
なお、担保権者の行方が、不明である場合・判明している場合を問わず利用できますが、行方不明である場合は、公示送達や特別代理人の選任の申立て等が必要になります。(※)

※ 実際に勝訴判決が得られるか、公示送達や特別代理人の選任が認められるかは、
裁判所の判断によります。

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