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売買・融資

売買・融資に関する不動産登記の本質

売買による所有権移転や、融資に伴う抵当権設定の登記は、実務上、取引が完了したその日のうちに、これらの登記申請を法務局に対して行なうことが当然の慣習となっています。
日本の不動産取引制度は、登記絶対主義ともいえる立場をとっており、当事者間で有効に成立した契約であっても、対抗要件を備えなければ、その効力を当事者以外の第三者に対抗することができないからです。
具体的な例を売買と融資に分けて、それぞれみてみましょう。

① 売買による所有権移転等の登記

Bが、Aが所有する不動産を3,000万円で購入したとします。
Bは、4月1日に、Aとの間で、売買契約を締結し、代金3,000万円を支払い、その領収書と不動産現物の引き渡しを受けました。しかしながら、Bは、登記名義をB名義に移すことなく、A名義にしたまま放っておきました。(冒頭で述べましたとおり、実務上、通常はありえませんが、仮に放っておいたとします。)
その1か月後である5月1日に、Aは、登記名義がAのままになっていることを悪用して、すでにBに売ってしまった不動産を、Cに3,000万円で売却しました。いわゆる二重譲渡です。Cは、Bとは違い、代金3,000万円を支払ったその日のうちに登記名義をC名義とする所有権移転登記申請を法務局に対して行い、登記は完了しました。
当然のことながら、不動産は1つしかありませんので、自己の所有権を主張して、BとCとの間で争いがおきます。このとき、どちらが勝つでしょうか。
Cが勝つ可能性が極めて高いでしょう。AとCが共謀していたなどの特別な事情でもない限り、裁判になれば、法律・判例に照らし、Cが圧倒的に有利です。
だからこそ、Bは、代金を支払ったからには、すぐに登記名義をB名義にするための登記申請を法務局に対して行なうべきだったのです。

悪いのはAであって、BでもCでもありません。しかしながら、責任を追及すべきAは、その頃にはどこかに逃げてしまって行方が分からなくなっていることでしょう。
そうすると、1つしかない不動産の所有権をBとCのどちらかに認めて決着をつけるしかありません。日本の不動産取引制度(法律・判例)は、このような争いが起きたときは、基本的に、売買契約や引渡し時期の先後ではなく、登記申請を先にしたCを保護する立場をとっているのです。

② 融資に伴う抵当権・根抵当権設定等の登記

Xが、4月1日に、Y(銀行・信用金庫等)から、2,000万円の融資を受け、その担保として、Xの所有する不動産に債権額2,000万円の抵当権を設定したとします。しかしながら、Yは、抵当権登記名義人をYとする抵当権設定登記をしないまま放っておきました。(冒頭で述べましたとおり、実務上、通常はありえませんが、仮に放っておいたとします。)
その1か月後である5月1日に、Xは、Z(銀行・信用金庫等)から、2,000万円の更なる融資を受け、その担保として同じ不動産に債権額2,000万円の抵当権を設定しました。Zは、Yとは違い、融資実行日に、抵当権登記名義人をZとする抵当権設定登記申請を法務局に対して行い、登記は完了しました。
そしてZから後れること1ヵ月後の6月1日に、Yは抵当権設定登記申請を法務局に対して行い、登記は完了しました。
ある日、この不動産についての競売が開始し、買受人から2,500万円の代金が納付されました。
このとき、Y、Z、それぞれが受けられる配当額はどうなるでしょうか。(細かな計算は省略し、Y、Zの配当請求額が各2,000万円であるとします。)

答えは、Yが500万円、Zが2,000万円です。すなわち、競売による売却価額のうち、まず、Zが債権全額に相当する配当を受け、残りをYが受けることになるのです。もし、Zが配当を受けた後に、残っていなければ、Yは何も受け取ることができません。
日本の不動産取引制度(法律・判例)は、1つの不動産に対する抵当権者の間で、このように弁済の優劣を決する必要があるときは、基本的に、金銭消費貸借や抵当権設定の契約時期の先後ではなく、登記申請を先にしたZを優先する立場をとっているのです。

不動産取引と司法書士

不動産売買取引には、売主・買主双方に、様々な権利・義務が発生します。
その中でも特に重要な権利は、売主にとっては売買代金を受領する権利ですが、買主にとっては、上記①で説明しましたとおり、購入不動産の引渡しを受けるとともに、登記名義を自己に移してもらう権利といえるでしょう。買主は、売買代金を支払うからには、確実に登記名義を自己に移さなければなりません。言い換えると、売買代金の支払いと引換えに、登記名義人を自己に移すための登記申請に必要な書類(以下「登記必要書類」といいます。)を売主から受領しなければなりません。
売主の売買代金を受領する権利の実現については、自己の預貯金口座等への振込手続きが完了していることを確認すれば済みますが、買主にとって、登記必要書類が揃っているのかどうかを判別するのは、登記の専門家でなければ困難ではないでしょうか。
そこで、登記の専門家である司法書士が登場します。司法書士が買主の登記申請代理人となって、売主から交付された書類について登記必要書類が揃っているかどうかの確認を買主に代わって行ない、買主は、司法書士から「登記必要書類は揃っています。」との確認を受けることで、安心して売買代金を支払うことができるのです。
このことは、融資に伴う抵当権の設定登記でも同じことがいえます。融資を実行する金融機関としては、融資を実行するからには、確実に自身を抵当権登記名義人とする抵当権設定登記申請のための書類が揃っていなければならず、その確認を司法書士が代わって行なうのです。
また、買主・売主・金融機関等、関係当事者全員にとって、中立な立場から、取引とその必要手続の可否を判断するという責任も果たしています。
司法書士はるない事務所は、豊富な知識と経験、適正な報酬、迅速な対応によって、安心・確実・円滑な不動産取引の遂行に資することを心がけています。いつでもご用命ください。

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